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オイゲン公
(Prinz Eugenius, der edle Ritter)
皇紀2665年12月25日更新

作詞・作曲:不詳

 

音源

mp3 演奏版
1.
高貴なる騎士オイゲン公は
皇帝の御為 再び
ベオグラードの城市を陥さんと図りぬ。
公の橋を架けたるは、
軍勢と諸共に忽ち
城市に迫らんが為なりき。
1.
Prinz Eugenius, der edle Ritter,
Wollt' dem Kaiser wied'rum kriegen
Stadt und Festung Belgarad.
|: Er lie
ß schlagen einen Brukken,
   Daß man kunnt' hinüberrucken
   Mit'r Armee wohl vor die Stadt. :|
2.
橋梁 落成し、
軍は馬車と砲台を携へ
ドナウ河を掌に渉るを得たり。
トルコ人を悉く放逐し、
かの者らを嘲り、苦しめんと
公は対岸のゼムリンに野営を築きぬ。
2.
Als der Brucken war geschlagen,
Da
ß man kunnt' mit Stuck und Wagen
Frei passiern den Donauflu
ß,
|: Bei Semlin schlug man das Lager,
   Alle Türken zu verjagen,
   Ihn'n zum Spott und zum Verdruß. :|
3.
時これ八月二十一日
間諜は暴雨を衝いて来り
公に誓ひをたてて告げたり、
「ご推察のごとく、
トルコ軍は三十万人分の
糧秣を確保す」と。
3.
Am einundzwanzigsten August soeben
Kam ein Spion bei Sturm und Regen,
Schwur's dem Prinzen und zeigt's ihm an,
|: Da
ß die Türken futragieren,
   So viel, als man kunnt' verspüren,
   An die dreimalhunderttausend Mann. :|
4.
之を聴くやオイゲン公、
麾下の将星らを
すべて幕下に集めしむ。
オイゲン公は的確に命ぜり、
軍勢を動かし、
まさに敵を討つべき方策を。
4.
Als Prinz Eugenius dies vernommen,
Lie
ß er gleich zusammenkommen
Sein' Gen'ral und Feldmarschall.
|: Er t
ät sie recht instruieren,
   Wie man sollt' die Truppen führen
   Und den Feind recht greifen an. :|
5.
命の下れるその時は
時刻は十二時を打ち、
真に深夜の事なりき。
然して ただ力の限り
戦ひに敵を屠らんと
全軍 駒に乗りたるなり。
5.
Bei der Parol' t
ät er befehlen,
Da
ß man sollt' die Zwölfe zählen,
Bei der Uhr um Mitternacht.
|: Da sollt' all's zu Pferd aufsitzen,
   Mit dem Feinde zu scharmützen,
   Was zum Streit nur hätte Kraft. :|
6.
全軍 駒に乗り、
剣を佩きて、
静かに陣営より進発せり。
騎兵に負けず 銃兵も
全軍雄々しく戦へり。
そはげに 麗しき一戦舞。
6.
Alles sa
ß auch gleich zu Pferde,
Jeder griff nach seinem Schwerte,
Ganz still r
ückt' man aus der Schanz'.
|:Die Musketier' wie auch die Reiter
   Täten alle tapfer streiten:
   's war fürwahr ein schöner Tanz! :|
7.
砲兵よ 陣より出でて
この戦舞に
大きく小さき楽を奏でよ。
異教徒トルコ人の上に
大小の砲弾を降らし、
かの者らを全て除き去れ!
7.
Ihr Konstabler auf der Schanzen,
Spielet auf zu diesem Tanzen
Mit Kartaunen gro
ß und klein;
|: Mit den gro
ßen, mit den kleinen
   Auf die Türken auf die Heiden,
   Daß sie laufen all' davon! :|
8.
オイゲン公は右翼にありて
将星らと肩を並べて
獅子奮迅と戦へり。
ルードヴィヒ公は騎して来り曰く、
「雄々しくあれや、ドイツの兄弟よ!
断固 敵を破殺せよ!」
8.
Prinz Eugenius auf der Rechten
T
ät als wie ein Löwe fechten,
Als Gen'ral und Feldmarschall.
|: Prinz Ludewig ritt auf und nieder'.
   Halt't euch brav, ihr deutschen Brüder,
   Greift den Feind nur herzhaft an! :|
9.
ルードヴィヒ公はその魂も
若き命も擲ちて
敵弾に身を砕きたり。
弟ルードヴィヒの戦没に 
オイゲン公は痛く哀しみて 亡骸を
ペーターヴァーダインに連れ還りたり。
9.
Prinz Ludewig, der mu
ßt' aufgeben
Seinen Geist und junges Leben,
Ward getroffen von dem Blei.
|: Prinz Eugen war sehr betr
übet,
   Weil er ihn so sehr geliebet,
   Ließ ihn bring'n nach Peterwardein. :|

 

<備考>

[1.曲について]
 主題となっているオイゲン公は、サヴォイア公爵家(のちにイタリア王国の王室になる)の分家である伯爵家に生まれた由緒ある貴族です。フランスの出身ですが、長子ではない為爵位を継承できず、フランスを離れてオーストリアのハプスブルク家に仕える軍人となります。

 訳では名前を「オイゲン公」としていますが、ここでの「公」は「公爵」の意味ではありません。原語の「Prinz」はサヴォイア公爵家の男系子孫である事を意味しているものです。余談ながら「Prinz」は欧州の爵位ではもっとも訳しにくいもので、他にも「皇子」、「王子」、「公爵」、「侯爵」などの意味をもつことがあります。ここで「公」と訳したのは、日本語の「公」には単に貴人をあらわす用法があるからです。

 訳の問題はそれで擱くとして、オイゲン公はハプスブルク家に仕えた後は、まさに八面六臂の戦いを繰広げます。南では異教徒の大国・オスマントルコ帝国と戦い、西では欧州の強国・フランス王国とたびたび衝突し、勝利を収めています。オイゲン公はハプスブルク・オーストリア一級の功臣といえる存在だったのです。

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 さてこの軍歌で歌われているのは、1716年の対トルコ戦争のことだと思われます。オイゲン公はこの戦いでベオグラードを制圧し、トルコからハンガリーを割譲させるという戦果を治めました。戦いの推移については歌詞をご覧になるとよいでしょう。

 歌詞はこの戦いに従軍したブランデンブルク出身の兵士が1717年につくったといわれ、のち1719年に作曲されたと伝承されています。ことの真相はわかりませんが、歌詞も現代では使われていない動詞の活用などがみられます。

 このように活躍したオイゲン公はのちのちまでオーストリア、ひいてはドイツ語圏の英雄と目されて、軍艦の名称に採用されたり、果ては武装親衛隊の師団名にまで用いられています。先に述べたように、血筋はイタリアのサヴォイア家、出身はフランスという風に、必ずしもドイツ・オリジナルな人ではないんですが。

参考関連文献:
バロックの騎士―プリンツ・オイゲンの冒険
オーストリア軍の歩兵1740‐1780

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[2.訳について]
 だいぶ難解な歌詞です。文法構造というよりも、辞書ひいても出てこない単語がありまして。あと固有名詞。

 「Prinz Ludewig」はオイゲン公の弟。「ペーターヴァーダイン」は、オイゲン公の軍勢が拠点としていた要塞都市です。

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[3.音源情報]
 ・mp3の他、こちらのサイトにひとつ。市販のCDだと、国内盤に「デッカ:ドイツ行進曲」、海外盤に「Soldaten, Helden, Vaterland」があります。

 ・演奏版は行進曲アレンジ。

 

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