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『ローエングリン』抄訳
〜「ドイツの国の為にドイツの剣を執れ!」〜
(Lohengrin)
A.U.C.2760年2月20日更新

作詞・作曲:ヴィルヘルム・リヒァルト・ヴァーグナー(Wilhelm Richard Wagner)

 

第一幕 第一場より

Der Heerrufer:
H
ört! Grafen, Edle, Freie von Brabant!
Heinrich, der Deutschen K
önig, kam zur Statt,
mit euch zu dingen nach des Reiches Recht.
Gebt ihr nun Fried' und Folge dem Gebot?

伝令:
聴き給え、ブラバントの諸侯よ、華冑よ、自由民よ!
ドイツ王ハインリヒが、帝国の正義を
諸賢らと論ぜんとしてこの市にお出ましになった。
諸賢よ、平和と服従を誓い奉るや否や?

Die Brabanter:
Wir geben Fried' und Folge dem Gebot.
Willkommen, willkommen, K
önig, in Brabant!

ブラバントの民:
吾等平和と服従を誓い奉る。
国王陛下、よくぞよくぞブラバントへ!

König Heinrich:
Gott gr
üß' euch, liebe Männer von Brabant!
Nicht m
üßig tat zu euch ich diese Fahrt!
Der Not des Reiches seid von mir gemahnt!

Soll ich euch erst der Drangsal Kunde sagen,
die deutsches Land so oft aus Osten traf?
In fernster Mark hie
ßt Weib und Kind ihr beten:
"Herr Gott, bewahr uns vor der Ungarn Wut!"

Doch mir, des Reiches Haupt, mußt' es geziemen,
solch wilder Schmach ein Ende zu ersinnen;
als Kampfes Preis gewann ich Frieden auf
neun Jahr - ihn n
ützt' ich zu des Reiches Wehr;
beschirmte St
ädt' und Burgen ließ ich baun,
den Heerbann
übte ich zum Widerstand.
Zu End' ist nun die Frist, der Zins versagt -
mit wildem Drohen r
üstet sich der Feind.

Nun ist es Zeit, des Reiches Ehr' zu wahren;
ob Ost, ob West, das gelte allen gleich!
Was deutsches Land hei
ßt, stelle Kampfesscharen,
dann schm
äht wohl niemand mehr das Deutsche Reich!

ハンンリヒ王:
ご機嫌よう、ブラバントの親愛なる人々よ!
余は徒に諸君らのもとへと遥々来たのではない。
帝国の窮地を告げ知らせようとして来たのだ!

ドイツの領土が幾度も東方より攻められ来たという、
悲報から先ず以て諸君らに述べることにしよう。
遠き国境地帯では、女子供がこう祈っていたという。
「神よ!ハンガリー人の猛威より我らを護り給え!」

おお、余は帝国の主として、
この言い難い恥辱に終止符を打たねばならなかった。
その結果、戦功として九年間の平穏を余は獲得した。
余はこの間、帝国の防衛に意を尽したのだ。
町々を堅固にし、要塞を築かしめ、
抗戦の為に軍兵を募らんとした。
しかし終に今、軍資金は尽き果ててしまった。
しかるに敵は野蛮なる恫喝と共に攻撃を加えて来る。

今こそ東で西で、挙りて余すなく、
帝国の栄誉を護るの秋ではないか!
ドイツの国たらんところは悉く武器を執れ、
されば誰がまたよくドイツ帝国を侮るであろうか!

Die Sachsen und Thüringer:
Wohlauf! Mit Gott f
ür Deutschen Reiches Ehr!

ザクセン人とチューリンゲン人:
すわや!神と共に、ドイツ帝国の栄誉の為に!

 

第三幕第三場
Alle Männer:
Heil K
önig Heinrich!
K
önig Heinrich Heil!
全員:
万歳、ハインリヒ国王陛下!
ハインリヒ国王陛下、万歳!

König Heinrich:
Habt Dank, ihr Lieben von Brabant!
Wie f
ühl' ich stolz mein Herz entbrannt,
find' ich in jedem deutschen Land
so kr
äftig reichen Heerverband!
Nun soll des Reiches Feind sich nahn,
wir wollen tapfer ihn empfahn:
Aus seinem
öden Ost daher
soll er sich nimmer wagen mehr!
F
ür deutsches Land das deutsche Schwert!
So sei des Reiches Kraft bew
ährt!

ハインリヒ王:
感謝す、汝らブラバントの愛する民よ!
余は誇らしく、己が心の燃え立つを感ずる。
同じようにまた、ドイツの各地で
精鋭なる軍兵の満ち足るを見る。
まさに今、帝国の仇敵が迫り来るとも、
吾等は雄々しく仇敵を打ち砕くであろう。
されば荒漠たる彼の東方より、
もはや仇敵どもが寄せ来ることはなかろう!
ドイツの国の為に、ドイツの剣を執れ!
かくの如く帝国の威武を宣揚せよ!
Alle Männer:
F
ür deutsches Land das deutsche Schwert!
So sei des Reiches Kraft bew
ährt!
全員:
ドイツの国の為に、ドイツの剣を執れ!
かくの如く帝国の威武を宣揚せよ!

 

<備考>

[1.曲について]
 ヴァーグナーの歌劇『ローエングリン』から、主にドイツ愛国主義を発揚しているといわれている部分の抄訳です。この作品は、ヴァーグナーが始めてドイツに対する愛国心を表明した作品として知られ、その為にナチ体制下では『ニュルンベルクのマイスタージンガー』と並んでよく上演されました。

 訳文中にある「ハインリヒ」は、ドイツ国王ハインリヒ1世のこと。ハンンリヒ1世は史実においては対外戦争に幾度も勝利を収め、国土拡張に成功した雄君です。子のオットーはのちの神聖ローマ帝国初代皇帝。従ってドイツ国家(Reich)の枠組みをつくった英雄とも解釈でき、ドイツ愛国主義の発揚にはもってこいの人物でしょう。

 なおこの歌劇では、一般的に第三幕にある「婚礼の歌」が有名。この曲、結婚式で多用されていますが、劇の展開から考えると縁起が悪い気がしないでもないですね。

<関連ページ>
ニュルンベルクのマイスタージンガー 抄訳。

<参考関連文献>
・『歌劇「ローエングリン」 DVD
・『ヴァーグナー家の人々 30年代のバイロイトとナチズム

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[2.訳について]
 「Reich」は全部「帝国」で訳しました。歴史背景を考えればこれは間違いですけど、訳し別けにくいですし、ナチの悪用という観点から提供していますので「帝国」にしておきます。

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[3.音源情報]
 CDはいっぱい出てますけど、みるなら矢張りDVD

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