『ローエングリン』抄訳 |
作詞・作曲:ヴィルヘルム・リヒァルト・ヴァーグナー(Wilhelm Richard Wagner) |
Der
Heerrufer: |
伝令: 聴き給え、ブラバントの諸侯よ、華冑よ、自由民よ! ドイツ王ハインリヒが、帝国の正義を 諸賢らと論ぜんとしてこの市にお出ましになった。 諸賢よ、平和と服従を誓い奉るや否や? |
Die
Brabanter: |
ブラバントの民: 吾等平和と服従を誓い奉る。 国王陛下、よくぞよくぞブラバントへ! |
König Heinrich: Soll ich
euch erst der Drangsal Kunde sagen, Doch mir,
des Reiches Haupt, mußt' es geziemen, Nun ist es
Zeit, des Reiches Ehr' zu wahren; |
ハンンリヒ王: ご機嫌よう、ブラバントの親愛なる人々よ! 余は徒に諸君らのもとへと遥々来たのではない。 帝国の窮地を告げ知らせようとして来たのだ! ドイツの領土が幾度も東方より攻められ来たという、 おお、余は帝国の主として、 今こそ東で西で、挙りて余すなく、 |
Die
Sachsen und Thüringer: |
ザクセン人とチューリンゲン人: すわや!神と共に、ドイツ帝国の栄誉の為に! |
| Alle Männer: Heil König Heinrich! König Heinrich Heil! |
全員: 万歳、ハインリヒ国王陛下! ハインリヒ国王陛下、万歳! |
König Heinrich: |
ハインリヒ王: 感謝す、汝らブラバントの愛する民よ! 余は誇らしく、己が心の燃え立つを感ずる。 同じようにまた、ドイツの各地で 精鋭なる軍兵の満ち足るを見る。 まさに今、帝国の仇敵が迫り来るとも、 吾等は雄々しく仇敵を打ち砕くであろう。 されば荒漠たる彼の東方より、 もはや仇敵どもが寄せ来ることはなかろう! ドイツの国の為に、ドイツの剣を執れ! かくの如く帝国の威武を宣揚せよ! |
| Alle Männer: Für deutsches Land das deutsche Schwert! So sei des Reiches Kraft bewährt! |
全員: ドイツの国の為に、ドイツの剣を執れ! かくの如く帝国の威武を宣揚せよ! |
<備考> |
[1.曲について] 訳文中にある「ハインリヒ」は、ドイツ国王ハインリヒ1世のこと。ハンンリヒ1世は史実においては対外戦争に幾度も勝利を収め、国土拡張に成功した雄君です。子のオットーはのちの神聖ローマ帝国初代皇帝。従ってドイツ国家(Reich)の枠組みをつくった英雄とも解釈でき、ドイツ愛国主義の発揚にはもってこいの人物でしょう。 なおこの歌劇では、一般的に第三幕にある「婚礼の歌」が有名。この曲、結婚式で多用されていますが、劇の展開から考えると縁起が悪い気がしないでもないですね。 <関連ページ> <参考関連文献> - [2.訳について] - [3.音源情報] |