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戦車の歌 パンツァーリート
(Panzerlied)
1933

作詞:クルト・ヴィーレ(Kurt Wiehle)
作曲:アドルフ・ホフマン(Adolf Hoffmann)

[訳文・解説] [原典・楽譜]

 

音源

mp3 演奏版
1.
嵐の日も雪の日も、
太陽 我らを照らす日も、
炎熱の真昼も
極寒の夜半も
顔が埃に塗れようと、
我らが心は快活ぞ。
我らが心は快活ぞ。
戦車は轟然と
暴風の中へ驀進す。
1.
Ob's st
ürmt oder schneit,
Ob die Sonne uns lacht,
Der Tag gl
ühend heiß
Oder eiskalt die Nacht.
Bestaubt sind die Gesichter,
Doch froh ist unser Sinn,
Ist unser Sinn;
Es braust unser Panzer
Im Sturmwind dahin.
2.
機関は吼えて
疾風迅雷と進み、
敵の砲火も
鋼の装甲で防げ。
我等は友軍の先駆、
支援はなくも戦うなり。
支援はなくも戦うなり。
斯くの如く我らは
敵陣深く突き進む。
2.
Mit donnernden Motoren,
Geschwind wie der Blitz,
Dem Feinde entgegen,
Im Panzer gesch
ützt.
Voraus den Kameraden,
Im Kampf steh'n wir allein,
Steh'n wir allein,
So sto
ßen wir tief
In die feindlichen Reihn.
3.
敵の軍勢の
眼前に現われなば
全速力もて
向かい討たん!
我らが陸軍の為
この身命なにものぞ。
然り、この身命なにものぞ。
ドイツの為に散る、
そは至上の栄誉なり
3.
Wenn vor uns ein feindliches
Heer dann erscheint,
Wird Vollgas gegeben
Und ran an den Feind!
Was gilt denn unser Leben
F
ür unsres Reiches Heer?
Ja Reiches Heer?
F
ür Deutschland zu sterben
Ist uns h
öchste Ehr.
4.
障害物と地雷にて
敵が阻むとも、
それを鼻で笑い
回避して進まん。
黄土に潜む
敵の火砲が吼えるも
火砲が吼えるも
我らは何人も知らぬ
未踏の道を探るのみ。
4.
Mit Sperren und Minen
H
ält der Gegner uns auf,
Wir lachen dar
über
Und fahren nicht drauf.
Und droh'n vor uns Gesch
ütze,
Versteckt im gelben Sand,
Im gelben Sand,
Wir suchen uns Wege,
Die keiner sonst fand.
5.
武運つたなく
深傷を負いて、
もはや故国に
帰ることかなわず。
弾丸 我らを貫き
命運は尽き果てぬ。
ああ、命運は尽き果てぬ。
その時、戦車は
我らの鋼鉄の墓とならん。
5.
Und l
äßt uns im Stich
Einst das treulose Gl
ück,
Und kehren wir nicht mehr
Zur Heimat zur
ück,
Trifft uns die Todeskugel,
Ruft uns das Schicksal ab,
Ja Schicksal ab,
Dann wird uns der Panzer
Ein ehernes Grab.

 

旋律対応版 試作和訳
旋律にあわせて歌えます(たぶん)。

1.
嵐も雪も 何かある
炎熱酷寒 乗り越えて
砂塵が襲うも
笑みて進まん 進まん
怒濤と駆ける 我が戦車

5.
武運つたなく 斃れなば
戦車は 黙(もだ)し語らねど
弾痕は伝う
あの敢闘 敢闘
戦車は 鋼の忠魂碑

 

<備考>

[1.曲について]
 ドイツ軍歌でも指折りの著名曲、パンツァーリートです。1933628日、陸軍中尉クルト・ヴィーレがケーニヒスブリュックへの途上、作詞しました。旋律には、18世紀の「ルイスカの歌」を借用しています。いわば、替え歌ということになるでしょう。

 ナチス時代の軍歌集にも歌詞と楽譜が掲載されていますし、収録されたレコードも複数ありますので、当時からそれなりに有名な曲だったのではないかと思われます。

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 《バルジ大作戦の影響》 ただこの軍歌が一躍有名となったのは、むしろ戦後といえるでしょう。この軍歌が広く知られるようになったのは、1965年公開のアメリカ映画『バルジ大作戦』の中で歌われた事がきっかけです。

 名前の通り、これは「ラインの護り」作戦におけるドイツ軍の攻勢と米軍の反撃を描いた映画です。劇中、少年戦車兵たちが自分たちの志気の高さを示そうと上官の前で「パンツァーリート」を歌いだすシーンはご覧になった方なら誰もが覚えているはず。クリスマスに浮かれている米軍とは正反対に、真面目そのもののドイツ軍に、どちらが主役なのかわからなくなります。あれどうして最後ドイツ軍負けr(ry

 それはともかく、この劇的なシーンがきっかけとなり、このパンツァーリートはドイツ軍歌の代名詞ともいうべき曲となりました。今からみると、1番のみをひたすら繰り返している点、字幕の邦訳は原形をとどめていないなど、指摘すべき点は幾つかあるのですが。

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 《邦題について》 邦訳では「戦車の歌」とでもしておきましたが、作詞された1933年はまだT号戦車の前身となった例の「農業用トラクター」しかドイツ軍には存在していません。翌1934年になって、ようやく砲塔ができて戦車が配備されます。したがって、「戦車の歌」という訳は不正確でしょう。

 ただ、先にも述べたように、今やこの軍歌は「バルジ大作戦」と切り離して考える事ができないものです。映画ではティーガーU(らしき戦車)が主力となっていますので、どうしても「重厚で強いドイツ戦車の歌」というイメージが離れません。それを鑑みて、あまり細かいことは気にせず「戦車の歌」でよいのではないかと思います。まあ、一般には「パンツァーリート」と称されていますので、これでよいかと。

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 《現在のパンツァーリート》 この軍歌は現在でもドイツ連邦軍の軍歌として歌い継がれているほか、フランス外人部隊でも替え歌として採用されています。外人部隊で歌われているのは、大戦後外人部隊に多くのドイツ軍人が参加してドイツ軍歌を広めたのが原因です。

 また1997年に日本で発売されたセガサターン用ゲーム『ADVANCED WORLD WAR 〜千年帝国の興亡〜』では、この軍歌がBGMとして使用されています。これも『バルジ大作戦』の影響でしょう。ただし、この音源の歌詞は原詩をみていないらしく、歌詞がめちゃくちゃです。もっとも、このゲームはドイツ軍のみを主役にしたイカれた(褒め言葉)ゲームですので、手を抜いたわけではなく、単純に資料が手に入らなかったのでしょう。今はネットのおかげで便利になったものです。

<関連ページ>
白いケピ帽(其の二) フランス外人部隊における替え歌。音源あり。

<参考関連文献>
ドイツ装甲部隊全史

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[2.訳について]
 ドイツ軍歌有数の有名曲ということで、別に難しい歌詞ではないですけど、訳注は細かく。ご自身で訳される時の参考にでもしてください。上掲の訳は例によって意訳ですので、下の解説のままの訳ではありませんのでご注意を。より文法に即した情報がほしい方は以下の註をご覧下さい。

 まず1番。

 「Ob's stürmt oder ...」から「...die Gesichter,」までは譲歩。「〜であろうと」。その後の「Doch froh ist unser Sinn」は「Sinn」が主語です。「しかし、我らの心は陽気である」。要するにどんな天候だろうと、塵埃に塗れようと、我ら戦車兵の心は陽気だ、という意味ですね。

 「Es braust unser Panzer」の「Es」は「Panzer」のことです。文を整える為に「es」が出ているだけで意味はありません。

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 次に2番。2番はちょっと厄介。

Mit donnernden Motoren,
Geschwind wie der Blitz,
Dem Feinde entgegen,
Im Panzer gesch
ützt.

 この文ですが、主語がありません。命令文でしょうか。上の2行は「とどろくエンジンに、稲妻の如く速く[進み]、」ということ。前置詞句と副詞句です。

 下の2行の動詞は「geschützt」。過去分詞ですが過去分詞には命令の用法がありますので、それでしょう。「Dem Feinde entgegen,」は「entgegen」が後置されているもの。「Panzer」はここでは「戦車」というより、「装甲」の意味だと思われます。それ故、「敵に対して装甲で護れ」。ただし動詞が他動詞なのに目的語がないことがやや気掛かり。

Voraus den Kameraden,
Im Kampf steh'n wir allein,

 直訳。「戦友たちに先行して我等は独り戦いにたつ」。「allein」は他の兵科の支援を借りず、戦車のみで戦うということです。

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 3番。

Was gilt denn unser Leben
F
ür unsres Reiches Heer?

 これは一文。「Was gilt denn unser Leben für unsres Reiches Heer?」。「Was」だけでなく「denn」もありますから、ただの疑問ではなく反語でしょう。「生命は鴻毛よしも軽し」ということです。

 「Reiches Heer」は、「ドイツ国の陸軍」という一般名詞ではなく、「Reichsheer」で固有名詞として理解した方が良いと思います。ヴェルサイユ体制から1935年の再軍備まで、ドイツ陸軍の正式名称は「Reichsheer」でした。訳し分けは困難ですが、まあ日本で言う「陸軍」と「陸上自衛隊」みたいな名称上の差異でしょう。

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 4番。

Mit Sperren und Minen
H
ält der Gegner uns auf,
Wir lachen dar
über
Und fahren nicht drauf.

 まず上の2行。主語は「Gegner」。次に下の2行。「lachen」と「fahren」が並列。「da」は敵の妨害をさします。

Und droh'n vor uns Geschütze,
Versteckt im gelben Sand,
Im gelben Sand,

 これも結構面倒なところ。「Versteckt」の訳をどうするかですね。英訳があるのでそれを参考にすると、「Geschütze」の形容ととるようです。私もそれを採用しました。直訳するとこんな感じでしょうか。「そして、黄色い砂のなかに隠された[敵の]火砲が我らの前で吼える」

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 最後、5番。

Und läßt uns im Stich
Einst das treulose Gl
ück,

 主語は「das treulose Glück」。「連れない運命が、いずれ我らに怪我を負わせる」といった感じの意味でしょうか。

Ruft uns das Schicksal ab,

 「abrufen」は「天に召す」とかいう意味。

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[3.音源情報]
 現在確認している音源は以下の6つ。

1.1938年頃吹き込みの戦前録音:mp3

5装甲連隊軍楽隊(Musikkorps des Panzer-Regiments 5
指揮:上級軍楽長テーガー(Obermusikmeister Taeger)
歌唱:ハイン・カルテット(Heyn-Quartett)

2.西独軍楽隊による歌唱つき音源。(こちらのCDに収録)
3.出所不明の戦後吹き込み(男声合唱、全番歌唱)。
4.演奏のみの音源:演奏版
5.1965年公開の米映画『バルジ大作戦』内の歌唱。
6.1997年発売された名作ゲーム『ADVANCED WORLD WAR 〜千年帝国の興亡〜』におけるBGM。なお歌唱つきですが、歌われている歌詞はデタラメ。

皇紀2665年9月1日更新

 

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