佐藤信淵『宇内混同秘策』メモ

2005年5月2日更新

まえがき

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  佐藤信淵 江戸末期の経世家、鉱山技術家、兵法家。(中略) 彼の『宇内混同秘策』は神道家平田篤胤等の奇怪な日本中心主義を借りて、全世界を征服するための青写真を描いた一大奇書であり、この中に「東京」という名称が始めて用いられたとされる。
(荒俣宏『帝都物語1 神霊篇』より)

 80年代後半に大ヒットした、伝奇小説『帝都物語』冒頭の「登場人物」欄に以上のような解説があります。私はこの箇所読んで以来、ずっと『宇内混同秘策』に関心を持っていました。

 そして最近、機会があってこれを読み終えました。内容は予想に違わず・・・というよりも遥かに過激なものでした。(笑)

 確かにこれは奇書です。この『宇内混同秘策』の意味って、「世界を統一するための秘密の方法」って意味です。まさにトンデモ本。

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 この本、かくもネタになりそうな内容にもかかわらず、あまり有名でないのはやはり文庫で簡単に手に入る類の本ではない事や現代語訳が存在しない事などが原因だろうと思います。

 そこで、私がこのたび読んだ際につくった要約を含むメモのようなものをここに公開したら、何かしら益するところもあるだろうと思い、このページを作成する事にしました。

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 殊にここでは、『宇内混同秘策』の序論にあたる、「混同大論」のみを特別に扱うつもりです。

 すべてを扱わないのは、一つに、この「混同大論」の部分こそがこの本の奇書としての最たるところで、ここを見れば充分だと思われるからです。つまり、皇国日本への凄まじい賛美と世界征服の薦め、そしてその具体的方法を述べた、もっとも内容の詰まった部分であるということです。

 理由の二つ目は、序論以外に関しては奇書という観点からみれば、退屈な箇所が多いからです。序論以外には、と「巻一」と「巻二」がありますが、これは世界征服をするためにはまず、国内整備が必要であるという視点から、きわめて詳細な国内整備策や都の設計などが書かれている部分です。

 なるほど、これもまた面白い箇所もありますし、歴史的に見ればむしろここの方が重要なのかもしれません。しかし奇書として楽しむ点からすれば、いささか退屈な部分でもあります。学者ならざる、ただの如何わしい内容のものが好きな私としては、詳しく触れようと思いません。一部、神話にからむ部分について述べるに留めるつもりです。

 ただ、佐藤信淵はただの狂信的な日本主義者、盲目的な世界征服論者ではなく、かなり詳細な治世術を述べ統一国家への展望を描いていたという事は、この『秘策』を読む上でも特筆しておく必要があるでしょう。(付属の解説にも、この狂信的部分と具体的施策が両立しているところが、信淵の特徴だと述べていました)

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 では前置きはこれぐらいにして、以下で具体的に「混同大論」を中心にみていきます。

 方針としては:

・内容に応じて小見出し(「A・・・」「イ・・・」「1.・・・」「2.・・・」など)を設ける。
・ぱっと見でわかるように、簡潔な要約にする。
・厳密さよりも、わかりやすさを重視。
・「面白そうな」箇所については、原文を引用して示す。

の3点です。

 この奇書の雰囲気が少しでも伝われば幸いです。

 最後に諸注意。

・私は専門家ではありませんので、正確さはもとより期待できません。
・姿勢はあくまで奇書を楽しむというものです。現代の政治思想とは無縁とお考えください。

参考資料

1.使用した本

「混同秘策」 『日本思想大系25 安藤昌益 佐藤信淵』 尾藤正英・島崎隆夫校注 岩波書店、1977年

・なお、「混同秘策」原文は漢文ですが、ここでは書き下し文で掲載されています。また、「混同秘策」とは、『宇内混同秘策』のことです。
・現代では古書としてのみ入手可能。

2.佐藤信淵について

まえがきに荒俣氏の解説を引用して置きましたので、その補足です。

・生歿 1769年〜1850年
・出羽国生まれ
・宇田川玄随に蘭学を、平田篤胤に国学をそれぞれ学ぶ。
・長崎への遊学歴あり。
・現代では、彼の説は一種の「国家社会主義」と理解されているらしい。
・大学受験日本史では、必須とは云わないまでも覚えるべき人物の一人。

目次

『混同秘策』

混同大論 上 「皇国日本の使命と世界征服までの手順概略」

A 皇国について

 1.皇国の使命

 2.皇国の天恵

 3.皇国の地理的優位性

B 世界征服までの手順概略

 4.内政:国内整備の必要性

 5.外征の概略

  イ 南方開発

  ロ 満州攻略

  ハ 蒙古制圧

混同大論 下 「世界制覇までの具体的方策」

 1.出師までの道程

 2.満州北部制圧

 3.朝鮮制圧

 4.満州南部・北京制圧

 5.台湾・寧波制圧

 6.支那全土制圧

 7.世界征服へ

 8.おわりに

補遺 (巻一と巻二から)

 1.帝都の構造

 2.神殿の配置

参考:平田篤胤『霊の真柱』

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