旧かなと旧字 目次 1.「旧かな」とは何か? |
1.「旧かな」とは何か 戦前に用いられていた旧仮名遣い、いわゆる歴史的仮名遣いのことです。 1−1.旧仮名遣いの誕生 この仮名遣いは古代から変らず使われてきた訳ではありません。江戸時代の国学者たちが、過去の文献にあたって整備した仮名遣いがもとになっています。国学者たちはこう思ったわけです。日本人は中国の学問や仏教はまじめに勉強しているのに、自分の国の思想とか言葉を研究しようとしない!と。そこで彼らは自分たちの言葉であるところの日本語の研究に入ったのでした。 1−2.普及の始まり 明治維新後に「国語」の教育をするにあたって基礎にされたのが、この国学者たちの整備した歴史的仮名遣いだったのです。これほど合理的に構築された日本語の体系が他になかったというのが理由。こうして日本全国へと旧仮名遣いが広まっていきました。 ちなみにそれまでの日本では今から見れば文法的な誤りが大量にありました。かの有名な「教育勅語」でさえ国学者からみれば明らかな文法の誤りがあるぐらいです。それ以外にも、江戸時代には平仮名の種類が百以上もあったといわれています。このような混沌とした言語世界を学校教育が徐々に均一化していきます。 1−3.衰退 しかし戦後、国語改革の中で読みと書きを一致させようという動きが起き、結果現在の新仮名遣い(現代仮名遣い)が教育される事になりました。すでに数十年を経て、今ではこちらの仮名遣いが主流となっています。 ただ新かなが合理性にかけるということで、旧かなを支持する人が今もいます。 <参考文献> |
2.「旧字」とは何か 戦後、「新字」に取って代わられた漢字の一部を「旧字」といいます。 2−1.旧字の定義の難しさ ただこちらは旧かなほど事情が簡単ではありません。戦前の文部省は「常用漢字表」のようなものをつくっていません。要するに「これが正しい」という公式のものがないわけです。 また漢和辞典の「旧字」も必ずしも確実というわけではありません。というのも学者によってどれを旧字とするかは解釈が分かれているからです。 「新字」を「旧字」に一義的にあてはめればいいというわけでもありません。例えば「余」という 漢字は「われ」という意味では旧字でも「余」であり、「あまり」という意味ではじめて「餘」となります。「弁」などもこういった使い分け問題が生じる代表例といえるでしょう。 更に同じ漢字でも、活字の場合や筆字の場合では形が大きく異なったりします。「しんにょう」は活字では点が2つになっているものがありますが、筆字では2つである必要がありません。また一般に旧字だとされているのがただ文体デザインの違いだということもあります。 例えば「文」という字を戦前の活字で見ると「右払い」の根元に「/」のようなものがついていますが、これは筆で「右払い」をする際に筆先を一端とめる際に出来る「タメ」を表現したものであって旧字ではありません。もしシャーペンで「文」の字を書く際に、旧字だと思って「/」をつけて画数をひとつ増やしてしまうととんだ恥をかくことになるというわけです。 その他、旧字運用には厄介な問題が多々あります。 2−2.ではどうするか では何を旧字とするべきでしょうか。 おそらく戦前の書籍に直接あたり、そこで用いられている用法を学んでいくしかないでしょう。ただし、戦前は旧字の出版物が多く刊行され、それらが互いに影響を与えて、また新しい用法が生まれるといった環境がありました。 しかし今ではそれはありません。従って、現在において旧字を戦前と同じような環境で使うのは困難でしょう。もちろん、真似をすることはできるでしょうが。 <参考文献> |
3.当サイトにおける扱い という訳なので、戦前の資料を用いる際には、「旧かな+新字」とします。 理由は述べたとおり、旧かなは比較的運用が容易であること。旧字は大変だということ。そもそもPC上だと表示に限界がありますし。それに現在では文語の表記は「旧かな+新字」というのが常識的です。 例えば鴎外の『舞姫』はどの文庫でも「旧かな+新字」になっています。軍歌は大方が新体詩ですから当然文語に属するわけで、そういった意味では「旧かな+新字」の方が本来の表記になるんじゃないでしょうか。軍歌CDの歌詞カードは日本の文章表現の規則からすればやや外れている訳です。 - <参考文献> ・旧字旧かな入門 旧字についてのタネ本。旧字に関していえば「入門」よりやや発展編かも。 ・旧字旧かな文献案内 日本語が辿った歴史と旧字旧かなの合理性。 - |