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2666年6月22日 海道東征の戦前録音

 以前から現代語訳の作業をしていた(最近放置してますが)『海道東征』の戦前録音が復刻されたようなので紹介しておきます。

SPレコード復刻CD集 日本SP名盤復刻選集II

 6枚組CDの内、4枚目に収録されています。興味のある方はどうぞ。「皇太子殿下御誕生奉祝歌」なんてカンタータも収録されています。詳細な目録はこちら

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 さて、邦訳の為には同時代の文献を読むのも無駄ではないという事で、言葉遣いなどをみつつ過去の文献を訳してみる。先ず『わが闘争』の冒頭。(以下は適宜改行済)

原文:
Deutschösterreich muß wieder zurück zum großen deutschen Mutterlande, und zwar nicht aus Gründen irgendwelcher wirtschaftlichen Erwägungen heraus. Nein, nein: Auch wenn diese Vereinigung, wirtschaftlich gedacht, gleichgültig, ja selbst wenn sie schädlich wäre, sie müßte dennoch stattfinden. Gleiches Blut gehört in ein gemeinsames Reich.

Das deutsche Volk besitzt solange kein moralisches Recht zu kolonialpolitischer Tätigkeit, solange es nicht einmal seine eigenen Söhne in einem gemeinsamen Staat zu fassen vermag. Erst wenn des Reiches Grenze auch den letzten Deutschen umschließt, ohne mehr die Sicherheit seiner Ernährung bieten zu können, ersteht aus der Not des eigenen Volkes das moralische Recht zur Erwerbung fremden Grund und Bodens.

Der Pflug ist dann das Schwert, und aus den Tränen des Krieges erwächst für die Nachwelt das tägliche Brot. So scheint mir dieses kleine Grenzstädtchen das Symbol einer großen Aufgabe zu sein.

訳文:
 ドイツとオーストリアは母なる国・大ドイツに再び還らねばならない。しかもこれは何ら経済的な配慮を理由とするものではない。否、否である。仮令この合併が経済的に考えた場合無価値なものであっても、それどころか有害なものであってさえ、この合併は断じて挙行されねばならない。同一の血は単一の共同国家に属するのである。

 ドイツ民族は、己が子らを単一の共通国家に含み込む事さえも出来ない限り、植民政策の挙に出る道徳的権利を有さない。国家の境が余すことなくドイツ人を囲い込んで、もはやその食料の確保が為しえなくなる時はじめて、他ならぬ我が民族の苦難からして外国の領土を獲得する為の道徳的権利が生じるのである。

 その時犂は剣となり、戦争の涙から子孫の為なる日々の糧が生ずる。それ故に、この国境の小さな街が大いなる課題の象徴だと私には思われるのである。

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 「国」に当たる言葉がかなり奔放に使われている印象。「Reich」と「Statt」がほぼ同義で使われていますね。訳でも特に分けて訳してはいません。また「Land」についても、普通こういった文脈だと「Reich」の下位概念として用いられますが、ここでは「Mutterlande」というかたちでほぼ「Reich」と同義になっています。

 それにしても、ここの論理はローゼンベルクが提唱した「生存圏」の発想に通じるものを感じます。根本にあるのは「食うものが無いなら奪ってもいいだろう」という発想。「道徳的権利」(moralisches Recht)という言葉が印象的です。そしてその際の行動単位が「民族」となっており、まずは単位としての「民族」を成り立たせる為に同一の血である民族が一つの国家のもとに結集しなくてはいけない。だから、ドイツの場合は、ドイツとオーストリアのドイツ民族がひとつになるべし、というわけです。

 でも実際、ドイツは食糧不足でも何でもないのに伍長は着々と戦争準備してましたが。

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 次は『共産党宣言』から。これはそのまま過激な労働歌の歌詞になりそうな文句がいっぱいあります。

Ein Gespenst geht um in Europa - das Gespenst des Kommunismus.
欧州に幽霊が徘徊している。共産主義という幽霊が。

 冒頭のこの箇所は有名。技巧的で面白くもあります。この幽霊に対して、各国の官憲や王権が同盟を結んでいる云々と続くところ。

 しかし何といっても最後の箇所が一番印象に残るでしょう。

原文:
Mögen die herrschenden Klassen vor einer kommunistischen Revolution zittern. Die Proletarier haben nichts in ihr zu verlieren als ihre Ketten. Sie haben eine Welt zu gewinnen.

Proletarier aller Länder, vereinigt euch!

訳文:
 支配階級よ共産主義革命の前に震え上がるがよい。プロレタリアは鉄鎖より他、己が内に失うべきものを何ら持たないのである。プロレタリアは世界を獲得しなければならない。

 万国の労働者よ、団結せよ!

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 最後の一文が特に有名。仏語版「インター」の歌詞(Groupons-nous:団結しよう)はこれに影響を受けたのかもしれません。また、ここでは「国」に当たる言葉として「Land」が用いられているのが確認できます。まあ「Reich」も「Statt」もあわないですからこの選択は普通でしょう。この文句はのちに、ソ連の標語にもなっています(Пролетарии всех стран, соединяйтесь!)。

 世界を獲得云々でいいますと、独語版「ワル労」の「Erstürme die Welt du Arbeitervolk.」(世界を制せよ、労働者よ)という言葉と通じているといえるでしょう。

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