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2666年8月17日 乙女の軍歌

 表題から滲み出ているように、この度の内容はいつもに輪をかけてキモく仕上がる予定ですのであらかじめご諒解ください。有毒です。一般人の方は不快になること請け合い。というより一般人の方はこんなサイト見ませんか。

 さて、事の発端は久しぶりに日本の軍歌でも聴いてみようかと思い立ったこと。しかしいまさら普通に聴いても面白くないので、テーマを「乙女」に絞って関連する戦時歌謡を聴いていくことにしました。この思い付きが既にして白痴のそれですが、案外にも多くの曲が該当します。何たって時代は萌えなのです。常人の批判なにかある。千万人と雖も吾往かん!いざ進め、悠久妄想の道。

 という訳で、以下は戦時歌謡の妄想レビューです。

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「乙女の戦士」

西条八十作詞、古関裕而作曲
収録CD:軍歌・戦時歌謡大全集4/戦時歌謡2

 映画『新女性連盟』の主題歌だそうです。何か女権拡張団体みたいな名称ですが、立派な戦時歌謡です。「諸悪の根源は男社会にあり!」みたいな歌詞は全くないのでご安心を。

 しかし歌詞は別の方向で迷走しています。そもそも「乙女の戦士」という題名から一抹の妄想へと誘なうフォースを感じますが、1番の歌詞を読む人は更に無限の妄想へと拉し去られることとなるのです。すなわち:

 さうして さうして
 うたふ乙女の 心の中にゃ
 誰も知らない 可愛い秘密

 「乙女の秘密」。この箇所を書いた時、詩人・西条八十の頭に何が去来したのかは闇の中ですが、平成のキモヲタたる不肖この私の頭に浮かんできたのは殆ど淫靡なものばかりで・・・いや、キモいのは分かってるんですが、これ以外何があるんですか。私の極度に偏った妄想世界では理解しかねるところです。或いは「実は未来人なんです」とか「情報統合思念体で・・・て妄想の開陳はこれぐらいにしておきますか。

 さうして さうして
 聴けるヲタクの 心の中にゃ
 言ふも悲惨な 汚濁の連鎖

 しかしこの歌詞が妄想を喚起するのは戦前昭和の乙女たちも同じであったようです。CD付属の解説に拠れば、解説者が昭和15年某女子寮でこの歌を歌唱指導したところ、

 「「うたう乙女の心の中にゃ 誰も知らない可愛い秘密」という歌詞のところで、寮生が期せずしていっせいに笑い出してしまった」

 そうです。解説者はさもこの事件が不思議であるように語っていますが、むしろ当たり前だと思います。現在、こんな歌を中学校で歌唱指導などしたら、その教師は一部の変態さんからの絶大な鑽仰を受ける一方で、ほぼ間違いなく悪の組織PTAから吊るし上げられます。解説者の方は色々とおおらかだった過去を惜しむべきかと思います。

 それは兎も角、西条大兄の頭におそらく何かが起きて出来てしまった歌詞を歌い上げるこの歌謡は、平成のヲタも昭和の乙女も共に斉しく妄想へと陥らしむる妖しいフォースを秘めていると指摘できるのであります。それと共に、平成のヲタと昭和の乙女との間における感性の共通性を喜ばしくも指摘したところで次の曲へ移りましょうか。

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「乙女の旅唄」

西条八十作詞、万城目 正作曲
収録CD:軍歌・戦時歌謡大全集 映画主題歌集 2

 またやってしまいました、西条八十大兄のお手になる乙女ソング第二段でございます。題名は無難で戦争色も感じられませんが、どうしてどうして、この曲は『米英撃滅の歌』という映画の挿入歌なのです。なので紛う方なき戦時歌謡。ちなみにこの映画、歌手・藤原義江に「米英撃滅の歌」という戦時歌謡を書いて送るといった内容です。要するに、人気歌手に不幸の手紙を送りつけるという内容ですね。

 さて曲そのものについてですが、私は歌詞の展開と音源の構成が相俟って出色の出来ではないかと思います。1番から3番までの歌詞は戦時下を匂わせる内容はあるものの、基本的に和語のみで構成された平和的で牧歌的な内容で、音源では三人の女性歌手たちがそれぞれ順にその歌詞を独唱しています。ここまでだと普通の歌謡曲として通じる事も、或いは可能だったかもしれません。しかしここで終らないのが戦時下乙女ソングのクオリティ。4番に入った途端いきなり合唱で、

 神代このかた 汚れぬ国と

 と暴走を開始します。この突然の暴走こそ、この曲の要諦であり肯綮だと思います。そして暴走は最後まで止むことがなく、

 乙女心よ 護るは今ぞ
 いざや勝ちぬけ 御戦さを

 といって曲を締めくくります。歌詞全体を見てもらえれば分かりますが、4番は内容も、そして言葉づかいも3番までとはかなり異なると指摘できます。言葉遣いでいえば、「汚れぬ」の「ぬ」とか、「護るは今ぞ」の「ぞ」とかで、3番までのたおやかな内容を切り刻むかのような強さを感じさせる言葉の選び方が挙げられるでしょう。これはわざと西条が気を引き締める為にやったのか、または本当はこんな歌詞つけたくなかったけどイヤイヤやりましたという示唆なのか、それとも天然なのかはわかりませんが、この辺の言葉づかいの巧みさは流石だと思います。

 個性が前面に出る独唱と平和的な歌詞から(1から3番)、協調が重視される合唱と戦時下の団結を訴える歌詞へ(4番)と移行するこの曲の構成は、まさに戦争を象徴するようなものではないでしょうか。セーラー服に竹槍という感じで萌えます(意味不明)。この不釣合いさが良いと思うわけですが、如何なものでしょう。

 ただ惜しむらくは、戦前の録音しかないということ。こういう女声歌唱の音源はぜひステレオ音源に復刻して欲しい。戦時下の歌謡曲復刻という企画はないのですか。なお個人的な脳内妄想では、歌っている3人は帝都から田舎に疎開している3姉妹という設定で、年齢は上から18、16、14歳。それぞれ外見はじめ、性格や趣味の詳細な設定も用意してあるのですが、書き出すと止まらないので割愛。

 ・・・今ふと気付いたんですが、こういう妄想を具現化してしまうと某国の「喜び組」みたいになるんでしょうか。全国から自分好みの美少女を集めて好きな曲を都合よく歌わせたりする集団(しかも全部国費で運営)。そして気に入った娘は権力を笠に着て寝取ると。なにその地上の楽園。

 というわけで、最後に平成のヲタと某国の独裁者との間における煩悩の共通性を図らずも指摘したところでこのキモいレビューを締めくくりたいと思います。予告どおりキモく仕上がって本人は極めて満足。実はもっと他の曲のも書くつもりだったのですが、いつの間にやら長くなったのでもうやめます。