収録CD:
軍歌・戦時歌謡大全集(1)明治・大正の軍歌
20世紀の音楽遺産〜軍歌(2)
| 1. ばうはいよする うなばらの 澎湃寄する海原の おほなみくだけ ちるところ 大波砕け散るところ ときはのまつの みどりこき 常磐の松のみどり濃き しうれいのくに あきつしま 秀麗の国秋津州 いうし いういう すうせんざい 有史悠々数千載 くわうぼ あふげば いやたかし 皇謨仰げば弥高し |
・澎湃・・・水が逆巻く様子。 ・常磐の松・・・「常盤」は形容詞。常緑樹である松をいう。 ・秀麗の国秋津州・・・美しい国、日本。 ・有史悠々数千載・・・建国以来、数千年。 ・皇謨・・・天皇の施政、またその方針。この場合、「有史悠々数千載」と前にあることから、神武天皇の施政をいうか。 |
| 2. れいろうそびゆる とうかいの 玲瓏聳ゆる東海の ふようのみねを あふぎては 芙蓉の嶺を仰ぎては しんしうだんじの ねっけつに 神州男児の熱血に わがむね さらにおどるかな 我が胸さらに躍るかな ああ くわうえいの くにばしら ああ光栄の国柱 まもらでやまじ みをすてて 護らで止まじ身を捨てて |
・玲瓏聳ゆる〜芙蓉の嶺・・・玲瓏は美しい様子を意味する漢語表現だが、この場合は副詞か。芙蓉の嶺は富士山だとすると東海は東海地方、または日本全体。だとすれば「美しく聳え立っている東海(日本)の富士山」となる。 ・国柱・・・国を支える柱である軍人。 |
| 3. ふるたかさんか みづきよく 古鷹山下水清く まつかぜのおと さゆるとき 松籟の音冴ゆるとき あけはなれゆく のみじまの 明け離れ行く能美島の かげむらさきに かすむとき 影紫にかすむ時 しんしゅしやうぶの はたあげて 進取尚武の旗上げて おくりむかへん よつのとし 送り迎へん四つの年 |
・古鷹山・・・江田島にある山。 ・松籟・・・松の間を吹く風によって生じる響き。しょうらい、とも読む。 ・能美島・・・江田島を含む、西能美島、東能美島の3島は地理的には接続して1島である。ただそれぞれ接続部分が狭い為、3島とする。これ以下は推測だが、江田島よりも東能登島の方が陸地に近いので、海兵入学者はまず東能登島に上陸し、その後に江田島に移動して兵学校へ入ったのではないか。「明け離れ行く」という表現はこれを反映しているような気がする。 ・進取尚武・・・進んでものごとに取り組み、武道をたっとぶ事。 |
| 4. たんていうみに うかべては 短艇海に浮かべては てつわん かいもたわむかな 鉄腕櫂も撓むかな じゅうけんとりて おりたてば 銃剣とりて下り立てば ぐんよう しゅくしゅく こゑもなし 軍容粛々声もなし いざがいせいの きをおひて いざ蓋世の気を負ひて ふばつのいきを きたはばや 不抜の意気を鍛はばや |
・鉄腕櫂も撓むかな・・・鉄のように強い腕で漕ぐので、櫂もしなってしまう程だ。 ・軍容・・・軍の規律。 ・蓋世の気・・・項羽の「力抜山兮気蓋世」から。世の中を覆いつくすほどの雄大な心意気。 ・不抜の意気・・・しっかりして変わらない意志。「堅忍不抜」(『老子』) ・鍛はばや・・・鍛えたいものだ。 |
| 5. みよせいおうに さきほこる 見よ西欧に咲き誇る ぶんかのかげに うれひあり 文化の影に憂ひ有り たいへいやうを かへりみよ 太平洋を顧り見よ とうあのそらに くもくらし 東亜の空に雲暗し いまにしてわれ つとめずば 今にして我勉めずば ごこくのにんを たれかおふ 護国の任を誰か負ふ |
・文化の影に憂ひ有り・・・作詩は1918年頃であるから、第一次大戦集結間近である。この大戦で西欧は世界の中心としての地位を大幅に後退させることになる。 ・今にして我勉めずば・・・大東亜戦時には、「今にして我起たずんば」と歌われた。 |
| 6. ああえたじまの けんだんじ ああ江田島の健男児 ときいたりなば くもよびて 時到りなば雲喚びて てんかけゆかん かうりゅうの 天翔け行かん蛟龍の ちにひそむにも にたるかな 池に潜むにも似たるかな たふれて のちにやまんとは 斃れて後に已まんとは わがまごころの さけびなれ 我が真心の叫びなれ |
・蛟龍・・・水中に潜み、雨が降ると天に昇るという想像上の生物。「蛟龍雲雨を得」で、英雄が時期を得て活躍することを言う。「時到りなば雲喚びて天翔け行かん」「池に潜むにも似たるかな」などはすべてこれの説明。ここではいずれ活躍する海兵の生徒のことを意味する。 ・斃れて後に已まん・・・「斃而後已」(『礼記』)。死ぬまで止めない。徹底的に努力をするの意。 |
<備考> |
[曲について] 作詞者の神代猛男は海軍軍人。海兵が校歌を公募した際に当選したのがこの「江田島健児の歌」です。海軍軍楽隊の佐藤清吉によって曲もつけられましたが、最終的には採用されませんでした。 |